農地が相続土地国庫帰属法におすすめな理由

農地が相続土地国庫帰属法におすすめな理由

相続土地国庫帰属法では、国が引き取りをしない土地、つまりブラックリストが定められています。逆に言えば、このブラックリストに該当しない土地であれば、国に引き取ってもらえるということになります。

そこで、農地がこのブラックリストに該当するかどうかを一つずつ検討していきたいと思います。

1. 国が引き取りをしない土地とは

1-1. 建物がある土地

建物がある土地

まず、「建物がある土地」は引き取りの対象になりません。

農地の場合、基本的に建物が建っていることはないと思いますので、この要件で引っかかることは少ないと思います。ただし、農作業をするための小屋については建物に該当する可能性が高いため、小屋の土地も併せて手放したいという場合は、申請前に小屋を解体をする必要があります。

また、ビニールハウスについては、建物に該当しないと考えられますが、後述の工作物に該当する可能性があるため、こちらも撤去が必要になる可能性が高いといえるでしょう。

1-2. 担保権や使用収益権が設定されている土地

担保権や使用収益権が設定されている土地

「担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地」は引き取りの対象になりません。

農地の場合、地主さんが農業従事者に土地を貸している場合は、この要件に該当するため、そういった土地は引き取りの対象になりません。ただし、土地を貸している場合、地代収入があり、あえて手放す必要はないでしょうし、仮に手放したいとしても土地を使っている方に安く売ればよいため、そういった場合はあえてこの制度を使う必要性がないと考えられます。

他方で、担保権が設定されている土地については、農協から借り入れを行う際に土地を担保に入れている場合に該当する可能性が高いといえます。また、借り入れをしていなくても、過去に借り入れをした際に設定した担保権の登記が残ったままという場合もあります。こういった場合も引き取りの対象にならない可能性があるため、担保権がある場合はこれを抹消する必要があります。

なお、過去の担保権については、法律上、簡易の抹消手続が用意されているため、一度、当事務所までご相談ください。

1-3. 通路、他人の利用が予定されている土地

通路、他人の利用が予定されている土地

「通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地」も引き取りの対象になりません。

農地の場合、直ちにこの要件に該当しませんが、例えば、自分の農地内に農業用水路が通っている場合は、この要件に該当する可能性があります。この場合、その部分を分筆して切り離したうえで申請を行う必要があるでしょう。

1-4. 土壌汚染されている土地

土壌汚染されている土地

「土壌汚染対策法(平成十四年法律第五十三号)第二条第一項に規定する特定有害物質(法務省令で定める基準を超えるものに限る。)により汚染されている土地」についても引き取りの対象になりません。

農地の場合、土壌汚染のリスクは低いと思われますので、この要件に該当することは必ずしも多くないといえます。

他方で、農地に関しては、「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律」という法律があるため、後述するバスケット条項の中で、この法律に触れる土地が引き取り対象外とされる可能性はあります。この点は今後の政省令の動向を見ていく必要があります。

1-5. 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地

境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地

「境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地」も引き取りの対象外となります。

農地については、境界が不明確な場合が一定数あると思われ、この点の検討を慎重に行う必要があります。もっとも、農地として耕されていれば、ある程度、区画がはっきりしているかと思いますので、山林・原野ほど、この要件が問題になることはないと考えられます。

また、相続登記が未了の場合は所有権の帰属に争いがある土地とされて、引取ができないと言われる可能性があります。相続登記が未了の場合は、必ず相続登記を終えてから申請を行う必要があります。

1-6. 崖地

崖地

「一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地」は引き取りの対象外となります。

農地が崖地になっていることは必ずしも多くないと思いますが、棚田や茶畑等、斜面に農地がある場合もあるため、こういった場合は、この要件に引っかからないか注意する必要があります。

1-7. 残基物が地上にある土地

残基物が地上にある土地

「土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地」も引き取りの対象外です。田んぼや畑などの場合、作物等が刈り取られていれば、基本的にこの要件を満たすことはないと思われます。

他方で、果樹園のように木が沢山植えられている場合、この要件に該当する可能性があります。山林に生えている木のように、特別の管理を要しない樹木であれば、この要件に引っかからない、つまり通常の管理・処分を阻害する樹木にはならないと考えられますが、果樹の場合、手入れが大変ですので、この要件に該当する可能性が相対的に高いと考えられます。まだ実績がないため不透明ではありますが、果樹園の場合は、樹木の除去が必要になる可能性があります。

また、ビニールハウスがある場合も、この要件に引っかかる可能性が高いと考えられるので、制度を利用する際はビニールハウスの撤去が必要になる可能性があります。

1-8. 地下埋設物がある土地

地下埋設物がある土地

「土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地」についても引き取りの対象外となります。

農地に地下埋設物が埋まっていることは基本的に考えられないと思いますが、申請を検討する前に、埋蔵文化財包蔵地に該当しないか、念の為、行政に確認しておくことがよいと思います。万が一、埋蔵文化財包蔵地に該当すると、この要件に引っかかる可能性があります。

1-9.トラブルを抱えている土地

トラブルを抱えている土地

「隣接する土地の所有者等との争訟等、隣人とのトラブルを抱えている土地」も引き取りの対象外です。

農地だから当然にトラブルがある土地に該当するということはないと思いますが、トラブルがある場合は、そのトラブルを解消してから申請する必要があります。

1-10. その他

その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地

最後に、「その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地」も引き取りの対象外です。

具体的にどのような土地が対象になるかは不透明ですが、例えば、土地改良区のように賦課金等の一定の金銭の支払いが必要になる土地については、この要件に該当する可能性があります。詳細は今後定められる政令によることになりますので、この点の動向も注視する必要があります。

2. まとめ

以上のブラックリストに該当しない場合は、国庫帰属が認められることになります。

相続土地国庫帰属制度を利用して、農地を手放したい!と考えている方は非常に多いのではないか?と予測されます。農地の場合、面積が大きくなると、管理費用も大きくなる可能性があります。そのため、面積の大小によっては、負担金が高額になり、事実上手放すことができないという可能性もあります。

相続土地国庫帰属制度を用いて農地を手放したい、と考えておられる皆様、一度是非、当事務所までご相談ください。

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