会社が倒産するとなった場合、経営者の方が一番心配されるのは、従業員の皆様ことではないでしょうか。法人破産では、法人の事業を廃止することになる以上、最終的に従業員全員を解雇することになります。
解雇の方法には、
- 即時解雇(解雇通知の時点で直ちに解雇する方法)
- 予告解雇(通知した日から30日を経過した時点で解雇する方法)
があります。
ただし、従業員に解雇予告通知を行うと、倒産の事実が関係者に知れ渡ることになり、混乱が生じることもあります。そのため,従業員への解雇(予告)通知は、法人の倒産を公表する直前に行うことが多いです。
以下、法人破産を検討する際の従業員への対応についてよくあるご質問について回答をまとめました。
Q1.
法人が破産すると従業員の未払い給与や退職金はどうなりますか?
A1. 配当がある場合には一般債権に優先して支払われます。
法人が裁判所にて破産手続きに入った場合、裁判所に選任された破産管財人が、破産法人の財産を換価し債権者に対して配当を行います。債権者へ配当を行う際には、定められた優先順位に従い行われます。
ただし、担保権付債権(抵当権・質権等)を有する場合には、破産手続きによらずに、自ら担保権を実行することができ、破産者に対して最強の債権を有することになります。
破産手続上の優先順位は、下記の通りです。
- 滞納税金等
- 未払給料・退職金等
- 一般債権
配当があるまでは、独立行政法人労働者健康福祉機構の未払賃金の立替払制度によって、未払となっている賃金の一定額(退職前6か月間の定期賃金及び退職手当のうち未払賃金総額又は限度額のいずれか低い額の8割相当分)について、政府が事業主に代わって立替払を行う制度があります。
Q2.
法人が破産すると従業員の健康保険証は使えなくなりますか?
A2. 使えなくなります。
法人が破産申立をしても、法人から社会保険事務所に廃業届の提出されるまでは健康保険証は使えるはずですが、法人から保険料が未払いである可能性が高いため健康保険証は使わないで下さい。法人の代表者は、破産申立の際には従業員の健康保険証を回収してください。
健康保険証が無くなってしまった従業員の方は、すぐに次の就職先が決まれば、その会社の加入する制度での健康保険証をもらってください。
仕事に就かない場合には、2週間以内にお住まいの市町村役場で国民健康保険に加入してください。あるいは、破産した法人の健康保険を2年間が限度で継続することが可能な場合もありますので、お早めに加入していた保険制度にご相談ください。
Q3.
従業員の失業給付はどのように申請するのですか?
A3. 失業給付は必要な書類を持って、お住まいの地区のハローワークへ申請します。
勤務する会社が倒産したために失業保険を受ける場合は、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6ヶ月以上ある場合に受給資格があります。会社はその従業員の「離職証明書」をハローワークに提出して、それに対して発行された「離職票」を持ってハローワークに申請します。
当事務所は、法人破産に関連する手続きをはじめ、破産申立日を定めて自己破産申立、財産の保全手続き、解雇離職手続、債権者への対応など、総力を挙げてできる限り混乱のないように短期間に集中して手続きを進めます。
当事務所には、法人破産に精通した弁護士及び専門スタッフが所属しておりますので、フルサービスの法人破産申立に万全の体制で取り組むことができますので、安心してご依頼ください。